遼金西夏史研究会 - Society for Liao, Jin and Xi-xia Studies

 

第21回 遼金西夏史研究会大会 報告要旨

五代後周の禁軍―序列と役割に着目して―

武井悠介

 五代史は従来、唐宋変革の視点に基づき研究がなされてきた。しかし、一国史の相対化を目指す近年の歴史学界の潮流の中で、五代史をユーラシア東部の歴史に位置づけるという傾向が強まっている。代表的なものは、後唐以降の4王朝の淵源となったテュルク系沙陀やその他の遊牧集団・ソグド人に注目した諸研究である。

 しかし、唐宋変革という視点の見直しが図られているにもかかわらず、それに基づいた従来の研究の再検討はなされていない。特に五代の禁軍は、宋代の「集権的な」禁軍に至る過程として論じられており、各王朝の禁軍を個別に分析・検討し、その構造や役割を明らかにする必要があるといえよう。

 そこで本報告では、後周の禁軍について分析・検討を行う。まず、後周禁軍の軍職が帯びた地方長官職(節度使や刺史など)に着目して、後周禁軍の階層構造を明らかにする。つぎに、そのような階層構造が確立した背景を禁軍を構成する集団の役割に求め、禁軍の活動や構成員を分析することで、後周禁軍内の役割・機能の違いを明らかにする。


 

 

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