遼金西夏史研究会 - Society for Liao, Jin and Xi-xia Studies

 

第18回 遼金西夏史研究会大会 報告要旨

古松 崇志 (京都大学人文科学研究所)

金国(女真)の儀礼と王権

——正旦・聖節の儀礼を中心に——

 12世紀前半、女真族のうち立てた金国が、強力な騎馬軍事力を背景にマンチュリアより勃興して勢力を拡大した。金国は、契丹と北宋のあいだの澶淵の盟以来の平和共存関係を崩壊させたのちに、両王朝を相継いで滅ぼすとともに、高麗・西夏・南宋といった周辺国をあいついで服属させ、13世紀の初めまで、以前からの多国体制を存続させつつユーラシア東方に覇を唱えることになった。本報告では、毎年正旦と聖節に金国皇帝が百官や外国使節を集めておこなう朝賀・上寿儀礼および皇帝と外国使節との対面儀礼をとりあげ、使者の参加する儀礼に現れる王朝間関係を検討して、当時のユーラシア東方における金国の覇権を儀礼の側面より明らかにすることを目指す。同時に、史料が僅少なために依然として不明な点の多い金国の王権の特質を考究する手がかりとしたい。


 
 
inserted by FC2 system inserted by FC2 system